普段ボクらが目にしているエレキギターやエレキベース。
その色とりどりに施された塗装にはいくつかの種類があるのをご存知ですか?
また塗装にはそれぞれメリットやデメリットがあるんです。
今回はギターやベースの塗装の種類について解説してみたいと思います。
エレキベースやエレキギターに使われている塗装の種類
一般的な市販のエレキギターやエレキベースに使われてる塗装は主に次の4種類です。
- ポリウレタン
- ポリエステル
- ラッカー
- オイルフィニッシュ
それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介する前に、塗装の目的と役割をサクッと説明しておきますね。
塗装の目的と役割
塗装する主な目的と役割は2つ。
1.木材の保護
1つは汚れや湿気から木材を保護すること、つまり防食ですね。
木には無数の穴が空いています。そのままの無塗装の状態だと外側や内部から腐食しますし、湿気を吸い込んでそれがカビの原因になったりもします。
よく倉庫に置きぱなしにされた木材が朽ちてるのを見たことがある人もいると思います。
まあ室内であそこまでになることはないと思いますが、早い話 木はほっとくと朽ちるわけです。
2.見た目を良くする
2つ目は美観の問題。綺麗に塗装することで見た目が良くなりますし、いろいろなカラーバリエーションを作ることができます。
クリア塗装はツヤと木目を同時に楽しむことができますし、マット仕上げ(つや消し)も無塗装状態とはまた違った風合いが味わえます。
それでは各塗装の種類について順番に見ていきましょう。
ポリウレタン塗装
おそらく、現在のギターやベースで一番使われてる塗装がこのポリウレタン塗装。
ツヤ感も良く塗膜に適度な弾性があるので経年によるひび割れとかも少ないです。
全てにおいてこのあと紹介するポリエステルとラッカーとの中間的な存在で、厚みに関しても比較的薄塗りが可能。
見た目はポリエステルと似てますが、経年で色が次第に黄色っぽく変色してくるといった特徴があります。
もともと白色だったはずなのに気がつけばクリーム色になってたとか、水色がグリーンに変色したとか良くある話。まあそれはそれで味として楽しむこともできます。
ピックガードを外したときや、貼ってたシールを剥がした時に気づくことが多いです。
ポリエステル塗装
同じポリでもポリウレタンとは全く別物。
環境の変化に強く、古くなっても塗装面自体が劣化することはほとんどありません。
一番の特徴は生産性の良さ。
溶剤を使ってない樹脂100%塗料なので蒸発しませんし、蒸発しないと言うことは塗った分の塗料がすべて塗膜になるということ。
つまり研磨と塗りを繰り返す必要がなく、一発で完成まで持っていくことができるという、非常に作業効率に優れた塗装なんですね。
ただ、家具などと違って楽器の仕上げとして考えた場合、この塗膜の厚み、俗にいう肉持ちの良さが逆に音に悪影響を与えるという見方もあるみたいです。
あと、塗膜自体はすごく硬くて丈夫なんですが、ぶつけたりすると、ぶつけた部分が凹むのではなくパリッと欠けて剥がれてしまうという欠点もあります。
比較的ローコストなエントリーモデルに施工されることが多い塗装ですが、メーカーによっては高価格帯のものにも使用しているケースもあります。
ラッカー塗装
ニトロセルロースが主成分。なので「ニトロセルロースラッカー」が正式名称。
溶剤を含んでるため一度に形成できる塗膜が薄く、何度も塗り・乾燥・研磨という工程を繰り返さないといけないため時間と手間がかかるんですね。
ただ、塗膜が薄い方が木の鳴りを生かせられる、という考えが浸透しているため、「ラッカー塗装=高級」と見られてるようです。
塗装技術がまだそれほど進んでいなかった時代に作られた楽器(いわゆるオールドと呼ばれているもの)が主にラッカー塗装だったと言うことも影響してるんだと思います。
見た目的には、ポリエステルやポリウレタンのようなテラテラしたツヤではなく、どちらかと言えば鈍い光沢感があります。
ラッカーは完全硬化するまでに数年はかかると言われていて、表面が乾いているように見えても、実は中身はまだ乾ききってなかったりするんですね。
また、経年と共にウェザーチェックと呼ばれるヒビ割れや細かなシワが発生することがあるんですが、それはそれでラッカー塗装の醍醐味として好まれてたりします。
中には わざわざこのウェザーチェックを新しい楽器で再現してしまうマニア(?)の方もいたりします。
ゴム系の素材やアセトン・シンナーなどで塗装が溶けるので取り扱いには注意が必要。
ギタースタンドに立てかけておくだけでもゴムに触れているところがイッてしまうので注意してください。(経験アリ)
オイルフィニッシュ
オイルフィニッシュは、いわゆるオイルステインと呼ばれている塗料を使った塗装仕上げの名称。
表面にほぼ塗膜を作らないので、木目の風合いをそのまま生かした、わらさらとした手触りが特徴です。
他の塗装にくらべるとシミや傷がつきやすいなど、保護的な性能面はやや劣りますが、木が持っている本来の鳴りを最大限に活かせる、といった意見もあるようです。知らんけど。
ピアノ塗装って何?
元々ピアノに使われていた塗装技術。最近ではピアノ以外の楽器にも施工されることもあります。
ギターやベースなのにピアノ塗装ってのも変な感じですが、実際にそういう触れ込みのものを見たことがありますし、楽器以外でも家具や什器などの仕上げとして普通に使われてます。
で、実際のピアノに使われている塗装は主にポリエステルかポリウレタンかのどちらかで、特別珍しくもないんですが、どうやら鏡面仕上げのことを「ピアノ塗装」と呼ぶことが多いようです。
鏡面仕上げっていうのは塗装面を磨き上げることで鏡のような光沢感を出すことなので、厳密に言えば塗装の種類ではなく仕上げの名称といったほうが正解。
ベースやギターの塗装の見分け方って?
オイルフィニッシュは別として、ポリウレタン・ポリエステル・ラッカーを見分けるのは正直難しいかなと思います。
強いていうならラッカーは独特のツヤ感があるので、慣れればなーんとなくわかるようになるかもしれません。
あと、ストラップピンやジョイントプレート、ピックガードを外したあとのピス穴を見ると塗装の厚みがわかります。もしかなり厚ければポリエステルの可能性大。
とは言うものの「かなり」がどのくらいの厚みなのかがわからないと判断しづらいですよね。それにポリウレタンは薄塗りもできますし・・・
どうしても知りたいという場合は、マニュキアの除光液など、シンナー系の溶剤を垂らしてみて塗装が溶けたらラッカーです。
もちろん目立つ場所で実験するわけにはいかないので、ネックやピックアップ、コントロールプレートなどを外してみて、はみ出た塗料部分で試してみてくださいね。
まとめ
今回は一般的によく使われている塗装の種類についてご紹介してきました。
どれも一長一短あるので、最終的には好みの問題になってくると思うんですが、最近はラッカー塗装を好む方が増えてる印象ですね。やはり音に対する意識の高さでしょうか。
ボク自身は同じ楽器をリフィニッシュし直して比較した事がないのでなんとも言えないんですが、一度ラッカー塗装のベースをスタンドで溶かした経験があるだけに、取り扱いに神経使うわずにすむポリウレタンのほうが好きです。
楽器をセミオーダーしようと思ってる方や、リフィニッシュを考えられていう方の参考になれば幸いです。
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