バンドの醍醐味といえばライブ。今までの練習の成果をみんなに聴いてほしい、そんな思いで演奏するわけですが。。。
ライブが終わってから録音した音源を聴き返してみると、自分のベースの音がイメージと全然違ってガッカリなんて経験ないですか?
どうすればライブで思い通りのベースの音が出せるのか、どうやって音作りをすればいいのか、ベーシストにとっては重要な問題ですね。
今回はライブでのベースの音作りについて触れてみたいと思います。
ベースのライブでの音作り
前回の記事でも書きましたが、ライブハウスでは基本的に「ベース→DI」という繋ぎ方が基本。
PAさんにしてみれば「余計なモノかませずに直でちょーだいね」というのが本音。変に味付けされたもの渡されると 後の調理が大変なので できるだけ生の状態で欲しいってのは当然っちゃあ当然です。
逆にベーシストの立場からすると「お任せしたいのはヤマヤマだけど、ちゃんと納得のいく音にしてくれるの?」という不安があります。
言ってみれば、素材を提供する生産者と料理人みたいな関係。
これは何度かライブを経験すると大なり小なり感じる事かと思うんですが、会場によって、またPAさんによって かなり出音に差があるのが現実。
そりゃまあPAさんだって経験豊富な方から初心者の方までいろいろなわけだから違いがあって当たり前なんですが、ついつい「今日は大丈夫かな?」と疑心暗鬼になっちゃうんですよね。
で、
「それなら事前に自分で音を作ってからDIに流すようにすれば いつでも安定した同じ音が出せるのでは」
という考えに行き着くわけであります。
ベースの音作りに使う機材って?
ライブ中に客席に届く音は自分では確認出来ません。大抵はライブが終わったあと、録音音源を聴き返したときに初めて「あーこんな音出してたんだ」と知ることになります。
ベースの音はPAさん次第とは言うものの、やっぱりある程度 自分で音を固めておきたいっていうのはありますよね。
いつもリハスタとかで聴く「ヘッドアンプ+キャビネット」の音に慣れてると、ラインの「素」の音ではキレイすぎて物足りないと感じる人も多いんじゃないでしょうか。
では何を使って音作りをすればいいのか?
一般的にベースの音作りには次のような機材が良く使われます。
プリアンプ
一番本質的な音作りがしやすいのはプリアンプ。通すだけで音が変わるし、コントロールをいじればさらに変化もつけられます。
プリアンプってメーカーによってかなり個性があるから、自分のベースと合う物を選ぶ事が大事。
一般的なのは「アウトボード型」と言って、ベースアンプの「プリ」部分だけを抜き取った、まあ一種のエフェクターみたいなもです。
あと、ベースの内部に組み込む用の「内蔵型プリアンプ(オンボード型)」というのもあります。俗にいうアクティブベースがこのタイプ。
オーバードライブ
歪み系。うすーくかけることで品よく厚みが出て、周りの音との馴染みもよくなります。
一般的にはコンパクトエフェクター型のオーバードライブを使う事が多いかな。
サンズアンプのベースドライバーDIなんかも有名で、これも言ってみればプリアンプの一種なんですが、ナチュラルな軽い歪みが作れるんでロック系の人が好む傾向にあります
最近はサンズ以外にもナンチャラDIって名前のものが多いけど、DIとしてよりもプリアンプ的な使い方をする人がほとんど。
コンプレッサー
コンプレッサーは出力のピークを抑えることで音のツブをそろえてくれるものなんですが、独特のギュッと圧縮感のある音が作れるので、それが好きって人も多いです。
ボクも本来の使い方ではなく、音作りのために使ってたこともあります。
コーラス
少し透明感のある音になります。一時フュージョン系ベーシストの間でよく使われてたりしました。
マルチエフェクター
いろんなエフェクターをギュッと1つにまとめたもの。前出のオーバードライブ・コンプ・コーラスなんかも当たり前のように入ってます。
それぞれのエフェクトを組み合わせて使うこともできますし、それをプログラムしておいて曲ごとに切り替え、なんてこともできてしまいます。
アンプシュミレーター
アンプシュミレーターはいろんなメーカーのアンプをシュミレートしたもの。
たとえば、アンペグ・ハートキー・フェンダー、あとサンズアンプのシュミレーターとかが入ってるのもあって、なかなかよく特徴をとらえてます。
エフェクター的に使えるので、手軽にアンプサウンドを出したい人にはおすすめ。
それにしても、こうなってくるとカテゴリーの線引きが難しいですね。プリアンプもアンプシュミレーターも、音を加工するという意味では全てエフェクターとも言えますし。
ライブハウスでベースの音作りをする際の注意点
初心者さんにありがちな失敗
ここまで ライブでのベースの音作りについて書いてきましたが、なにごともやり過ぎは禁物。
エフェクター1個通すだけでも音の信号って劣化するので、あんまり欲張ってあれもこれもやっちゃうと残念な結果が待ってます。イコライザーとかも極端にいじくるとロクなことないです。
ボクも初期の頃は自分の思うような音作りができず、エフェクター沼にはまってしまったこともありましたが、現在ではリハはアン直、ライブはDI直に落ち着きました。エフェクターは、必要であれば特定の曲の一部分で使うくらいです。
まあこの辺りに関しては演奏するジャンルにもよるので、使ったほうがバンドとしてのサウンドが良くなるのであればそれはそれで正解。
エフェクターにはそれぞれ違った目的があるので、たくさん繋いでも状況に応じて使い分けるのであれば問題ないんです。
ただ、ベースの役割や音の劣化などを考えると、常時かけっぱにするのは1つか2つくらいまでにしておいたほうが懸命。
ギタリストでオニのようなエフェクターセット組んでる人がいますが、あれはあれでOK。
アンプのマイク録りが前提のギターと、基本ライン録りのベースとでは事情が全く違うからです。
これね、ベースの人は本当に気をつけた方がいいです。
よく他のバンドのライブや対バンの演奏やなどを聴くことがあるんですが、好き放題つなぎすぎてヒドイ音になってる人がいます。
もう会場のスピーカーから出る音がダンゴになっちゃって、何を弾いてても「ゴゴゴー」というノイズにしか聴こえない。
弾いてる本人はステージ上のアンプの音しか聴こえてないもんだからノリノリなんだけど、こっちが聴いてる音は全部「ゴゴゴー」で、もうリズムもフレーズもあったもんじゃない。しかも他の楽器の演奏まで聴こえなくしてたりすると、勿体ないなーと感じてしまいます。多分 PAさんもお手上げなんでしょう、
もちろんこれはアマチュアが小中規模クラスの会場でライブを行う場合の失敗例。プロの大掛かりなライブやレコーディングではまた話が違ってきます。
プロの演奏の場合はそれなりの機材とスタッフをそろえますし、当然打合せも念入り。アーティストの理想の音を叶えるべくスタッフもあれこれ手を尽くしてくれますが、ぶっちゃけ予算をかけないアマチュア相手にそこまでしてくれません。
特に対バンライブなど、時間のない中で複数のバンドの音をまとめないといけないような現場で 1つのバンドの1つのパートにそれほど構ってられないんですね。
まとめ
ライブハウスでのベースの音作りについてサクっとまとめておきます。
ライブで自分のイメージするベースの音を出すには、DIの手前で音作りを完成させておく必要があります。
音作りに使える機材としては、プリアンプやエフェクター、アンプシュミレーター等が一般的。
他にも音色を変えられる機械はいろいろありますが、総じて言える事は「加工しすぎるのは良くない」って事。
信号劣化させすぎるとPAさんの手に負えなくなり、結果的に会場にノイズだらけの不明瞭な音を届けてしまう事になります。要注意ですよー。
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