ベースの二大巨頭といえばジャズベースとプレシジョンベース。初めてベースを買うとき、どちらがいいのか迷いますよね?
でもパッと見 よく似てるし、あまり違いがよくわからないって方も多いはず。
そこで今回は、ジャズベース(ジャズベ)とプレシジョンベース(プレベ)の形・ピックアップ・音の違いについて詳しく解説してみたいと思います。
ジャズベースとプレシジョンベースの違い
えーまず、ジャズベース(通称ジャズベ)とかプレシジョンベース(通称プレベ)って言う名前はフェンダー社(Fender)の登録商標なんですね。
なので厳密にいうと、フェンダー以外のものは見た目が同じでも「ジャズベタイプ」「プレベタイプ」ということになります。
ただ今はもうあまりにもスタンダードになってしまっているので、他メーカのものでもジャズベとかプレベって呼んじゃってます。
と言うわけで、以下に出てくるジャズベとプレベについては、他のメーカのコピーモデルも含んだ総称と言う解釈でお願いします。
ちなみに「プレジション」じゃなく「プレシジョン」ね。これ結構間違いやすいので。
では早速2つを比べてみましょう。
先に登場したのはプレベでジャズベは後発
世界で初めて発売されたエレクトリックベースはフェンダーのプレシジョンベース(Precision Bass)。
「プレジション=正確」って意味なんですが、これは従来のウッドベース(コントラバス)がフレットレスだったのに対し、ギターのようにフレットを取り付けたことによって正確な音を出すことが可能になったと言うのが名前の由来。
で、そのプレジションベースの登場から約10年後、満を持して登場したのがジャズベース(Jazz Bass)。
弾き心地や音の可変幅など、プレベをさらに使いやすくグレードアップさせた上位機種として販売したところ大ヒット。今でも世界で一番使われているベースの座に君臨しています。
対するプレベも安定した人気を誇ってます。旧型であるはずのプレベがなぜ 今もなお支持を集めつづけているのか、その理由については後述したいと思います。
いやーそれにしても開発者であるレオ・フェンダーさん、なんてスゴイ人だ。
形の違い(見た目)
ジャズベはお尻の部分がナナメになっててちょっとセクシーなのに対し、プレベは左右対称。男のケツって感じです。
あとピックガードの形状やツマミの数・位置なども違ってますが、まあこのあたりは年代やモデルなどによっても多少違ってくる部分なので参考までに。ピックガードが無いタイプもあるよ。
余談ですがこのジャズベのナナメ尻、ちょっと壁に立てかけようとしても真っ直ぐに立たずイラッとすることがあります。
ネックの太さの違い

わずか5mm程度の差なんだけど、握った感じはかなり差を感じます。あと厚みもプレベの方がやや厚め。
ボクが一番最初に所有したベースはプレベだったんですが、ずっとそのネックが普通だと思ってたので、初めてジャズベースを弾いた時はあまりの弾きやすさに感動しました。
手の大きさが一般的な日本人サイズの方には ネックが細めなジャズベの方が馴染みやすいかもしれませんね。
ピックアップの違い

ピックアップとは弦の振動を拾って音に変えるマイクのことで、いわばエレキベースの心臓部みたいなパーツ。
ジャズベは細長いタイプのピックアップがフロントとリアの計2箇所、プレベは1・2弦用と3・4弦用が互い違いになったピックアップが1箇所。
ピックアップって、モノによって音のキャラクターが違うんですが、取り付け位置によってもかなり音が変わるんですね。
ピックアップを2基搭載しているジャズベースは、温かみのある丸い音(フロント側)+クリアで硬質な音(リア側)という2種類の音をミックスすることができ、さらにその混ぜ具合も好みで調整できるため、プレベに比べると音作りの幅はかなり広いです。
音の違い
前章で「ジャズベの方が音作りの幅が広い」って書きましたけど、「じゃあどんな音色?」ってなると説明がヒジョーに難しくなってきます。
と言うのも、2つあるピックアップのブレンド具合によって全然違う音にできちゃうんですね。
フロントピックアップだけにするとプレベっぽい音になるし(ドンズバではない)、リアだけにすることでクリアでキレのある音も出せる。で、フロントとリアをミックスするとちょうど良い感じにミドルが少し引っ込んでハイとローがバランスよく出る。
一般的に一番ジャズベースらしさが出るのがこの半々の状態。他の楽器の音と変にぶつかりすぎる事もなく、なおかつ存在感もアピールできるというところがジャズベースの人気の秘密かと思われます。
対するプレベは中音域にパンチがあるサウンドが特徴。単体で聴くとややゴリゴリした印象があるけど、アンサンブルに入ると意外にも音馴染みはいいです。
ピックアップが1箇所なのでジャズベのような音の可変はできないんですが、逆にそれがプレベらしさを特徴付けてるとも言えますね。
両者の音を一言で表現するとしたら、
- ジャズベ:品が良くオシャレな音
- プレベ:無骨な野太い音
と言ったところでしょうか。
もう少しわかりやすく例えると、
- ジャズベ:高級ラウンジのママ
- プレベ:地方スナックのママ
うん、どちらも違った魅力があるな、って伝わります?
ちょうど良さげな動画がありましたので参考してみてください。
・ジャズベース/Jazz Bass
(Vintera Series ’70s Jazz Bass | Vintera Series | Fender)
・プレシジョンベース/Precision Bass
(Vintera Series ’50s Precision Bass | Vintera Series | Fender)
・比較動画(これめっちゃ分かりやすいw)
Bass Battle — Fender Jazz Bass VS Fender Precision [at guitarbank store]
初心者にはジャズベとプレベのどっちが良いの?
はっきり言ってどちらも良い楽器なので、優劣ではなく どちらが自分に合ってるかと言うのが選択の基準になってきます。
ジャズベース はその名前からジャズ向きなイメージがあるかもしれないですが、全然そんなことはなくオールマイティー。どんなジャンルにも対応できます。
プレベもなんでもいけるんですが、どちらかといえばロックやジャズに向いてますね。特にピックでゴリゴリ弾くロックなスタイルにはピッタリだと思います。
まあ正直、ネックの太さなんかを考えると初心者の方や手のサイズが小さめの方にはジャズベの方が弾きやすいと思うので、もし迷ってるならジャズベをおすすめします。あとスラップする場合もジャズベの方がそれらしい音を作りやすいですしね。
ただ、プレベはプレベで良いんですよこれが。プレべにはプレベでなければ出せない音があるんです。
冒頭の方で書いた内容と重複しますが、元々はプレベをより使いやすくした改良版として登場したのがジャズベース。普通に考えると旧型であるプレベは衰退していってもおかしくないはずなんですが、なぜか未だに多くのファンの心を捉えて離さないんですね。
それはプレベからジャズベに進化するための取捨選択の過程で、その捨ててしまった部分にこそ魅力が残されていたからに他ならないわけです。
ジャズベとプレベの違い:まとめ
ジャズベとプレベの違い、なんとなく分かっていただけたましたでしょうか?
それぞれに違いはあれど、結局はどっちもいい楽器であることは間違いないので、どちらを選んでも大きな後悔とかはないと思います。
ちなみに、今回ご紹介した音の違いについてはあくまで「傾向」ってだけで、実際には作られた年代やセッティング、コンディションを含む個体差などによってかなり違いがあるのが現実です。
また同じフェンダーのジャズベやプレベでも 上級グレードからエントリーモデルまでラインナップはいろいろで、パッシブもあればアクティブもある。おまけにフェンダー以外のコピーモデルとかを含めるとそれぞれのメーカーの個性も出てくるので千差万別。
ジャズベでメチャメチャぶっとい音や、下品な音(いい意味で)を出す人もいるので、まああまり先入観持ちすぎないようにしてくださいね。
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